車を運転していると、様々な気づきがある。
街中を時速40Kで走るという行為自体が、まあ珍しいことであるので、車窓からの景色をついぼけっと眺めてしまう。あ、もちろん安全運転で。
歩きでは体感できない速度で流れていく街並みは、視線を線でつなげず点で見るしかないため、思わぬ発見に出遭う。通り過ぎた後で戻って確認に行ったりもする。ああ、そうか、こんな細い路地にパン屋さんがあったんだなあ。
特にこの季節は桜が咲いていたり梅が満開だったりで、時速40Kだと「いまのどっち!?」となること請け合いだ。
しかしいつも高速で流れていく車窓を見ているもんだから、信号待ちなんかで停車していると、妙に一個前で同じく信号待ちをしている車のナンバーとかリアウィンドウとかを眺めてしまう。
バックミラーで見ると、やたらと自車を凝視してくるニット帽すがたのグラサンおやじが映り、思わず二度見してしまうほど気味が悪いことこの上ないだろう。絶対に振り返ったりなんぞできない。実はあなたのことを見ていました。とか唇を動かして伝えてきそうだからだ。
「オ・マ・エ・ヲ・ミ・テ・イ・ル・ゾ」
続きを読む